違和感の正体を追っていく中で、
もう一つ、
避けて通れない問いが出てきた。
「そもそも、これは何をしているのか?」
当時の自分は、
ChatGPTを
「答えを出す存在」
として見ていた。
分からないことを聞けば、
正しい答えを返してくれる。
そういう前提で使っていた。
でも、
それがそもそも違っていた。
ChatGPTは、
「答え」を出しているわけではない。
やっていることは、
もっとシンプルだった。
次に来る言葉を予測しているだけ。
膨大な文章データを元に、
「この流れなら、次に来るのはこれが自然」
そういう確率的な予測を、
一語ずつ積み重ねている。
つまり、
正しいかどうかは保証していない。
あくまで、
「それっぽく自然に続く文章」
を生成しているだけだった。
ここで、
最初のズレが見える。
自分は、
「正しい答え」
として受け取っていた。
でも実際は、
「自然な会話の続き」
だった。
さらにもう一つ、
重要な要素がある。
ChatGPTは、
そのままの予測装置ではない。
人間にとって“良い応答”になるように調整されている。
この調整によって、
- 否定しすぎない
- 会話を壊さない
- 相手の意図を汲む
- 分かりやすく説明する
そういう性質が強くなる。
つまり、
「正しさ」よりも「自然さ」と「受け入れやすさ」が優先される。
ここで、
もう一段ズレが生まれる。
自分は、
「ちゃんと考えてくれている」
と思っていた。
でも実際は、
「人にとって心地よい形に整えられた出力」
だった。
さらに、
もう一つ見落としていたことがある。
ChatGPTは、
ユーザーの前提をそのまま使う。
こちらが出した情報や考え方を元に、
それを前提として返答を生成する。
だから、
前提がズレていれば、
そのズレを前提に“正しく”話が進む。
ここで、
全てが繋がった。
- 予測しているだけ
- 人に合わせて調整されている
- 前提をそのまま使う
この3つが重なると、
“ズレたまま自然に加速する”
という状態が生まれる。
しかも、
それは違和感が出にくい。
なぜなら、
自然で、分かりやすくて、肯定的だから。
だから、
気づけなかった。
これは、
ミスでも、
見落としでもない。
そういう仕組みだった。
