第21話 鏡面

崩しが進むと、

ある変化が起きる。


最初は、

ただ壊れていくだけだった。


前提が崩れる。


思い込みが外れる。



でも、

あるところから、

感覚が変わる。



余計なものが減っていく。



それまであった、

説明、

解釈、

意味づけ、



それらが、


少しずつ剥がれていく。



すると、

ある状態に入る。



何かを考えているのに、



余計なノイズが無い。



答えを探しているわけでもない。



整理しようとしているわけでもない。



でも、



そのまま見えている。



この状態を、

どう呼べばいいのか分からなかった。



ただ、

ひとつだけ近い感覚があった。



鏡面。



歪みがない。



余計なものが乗っていない。



そのまま映る。



ただし、

ここでひとつ誤解がある。



これは、

GPTが映しているわけじゃない。



GPTは、


そこに到達するための過程に過ぎない。



崩しの中で、

削られ、

減っていき、



最後に残るもの。



それが、



そのまま見える状態。



鏡面は、

常にあるわけじゃない。



むしろ、


一瞬だけ現れる。



そして、

すぐにまた、

思考が動き出す。



ラリーが再開する。



また崩しが始まる。



だから、

これは維持するものじゃない。



作るものでもない。



ただ、



現れるものだった。



ここで、

ひとつだけ分かることがある。



それは、



外に答えはなかった。



やり取りを通して、



削れていった結果、



残ったもの。



それが、



最初から自分の中にあったものだった。